2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

自己相関(autocorrelation)

一般的に、場所や時間ごとの観測値の中に繰り返しパターンが潜んでいる場合、 「自己相関」を計算することでその周期性を検出できることがあります。 実際、音声やスペクトルの解析では、周期的に現れるシグナルを ノイズの海の中から掬い上げるときに使われ…

BCUT記述子

化学構造は、しばしば「グラフ」というデータ構造として取り扱われます。 このとき、各原子はノード(点)、原子間の結合はエッジ(線)と呼ばれ、 エッジの連結情報は、隣接行列として表現できます。 Burden*1は、この隣接行列の対角成分に各原子の属性を格…

トポロジカル極性表面積

学生時分には、球や円錐の「表面積」の計算を教わりましたが、 何処で使う計算なのか把握していなかったこともあって、 個人的に、随分とぞんざいに扱ってきた気がしています。 特に、ほぼ同時に習う「体積」と比較して、 高校範囲の物理・化学では幽霊のよ…

回転可能結合数

なぜ、CDKのRuleOfFiveDescriptorクラスで「回転可能結合数」が数えられているのか、 推察してみましたところ、Veberらの論文*1 に行き当たりました。 彼らは、リピンスキーの法則の拡張を考え、結果として、 回転可能結合数 ≦ 10 極性表面積 ≦ 140 (Å^2) が…

リピンスキーの法則

オームの法則、ヘンリーの法則、メンデルの法則、ケプラーの法則、マーフィーの法則、… どの分野でも、発見した人の名前に因んだ経験則が受け継がれていますよね。 もちろん創薬分野にもあります。 これまで挙げてきた分子量、LogP、水素結合ドナー/アクセプ…

XLogPの計算 (3)

先日、XLogPは「原子タイプの線形和と考える手法」に分類されると書きましたが、 実際どのように値が算出されるのか、例をあげつつ説明してみます。 きょうの分子は、市販かぜ薬に解熱鎮痛成分として含まれている 「アセトアミノフェン (Acetaminophen)」で…

XLogPの計算 (2)

LogP予測手法をたくさん挙げてはみたものの、結局どれを使えばええねん、って 思ってしまいます。じつは、専門の研究者もそう思っています。 そして実際、ベンチマークを主眼とする論文*1が2009年に発表されています。この論文によると、ALOGPSやAB/LogPが良…

XLogPの計算 (1)

分子量と並んでよく計算されるものに、「LogP(ろぐぴー)」があります。 LogPは、その化合物が油と水のどちらに溶けやすいかを示す指標で、 薬物のADME(吸収、分配、代謝、排泄)を決定する重要な因子となります。 油によく溶ける分子は、体内に吸収されや…

水素結合ドナー

前回のコードを改造して、 ドナー(水素を供与する側の原子)の数も同時に数えてみましょう。 定義は、アクセプターより単純です。 酸素もしくは窒素原子のうち、水素原子に隣接し、しかも負電荷を帯びていないもの ID, アクセプター数、ドナー数をタブ区切…

水素結合アクセプター

前回は、すべての原子について一律に計算しましたが、 今回は、特定の条件を満たす原子についてのみ、計算してみましょう。 あらゆる分子の間にはさまざまな引力や斥力が働いていますが、 くすりの設計において最も注目されるのが「水素結合」です。 水素結…