chemical beauty (2)

(1) のつづき。

Bickertonら*1は、QEDを定義したあと、薬物候補を判別するベンチマークを行いました。
従来から使われているリピンスキーの法則より優れていることを示すためです。

  • 正例:DrugBank登録の薬物
  • 負例:PDB登録の低分子リガンド


ここで「QEDの方が高い分離能を示しました。」だけで締めくくらないのが、
この論文のチャームポイントです。


さて、製薬化学者は、化学構造を目で見て、直感的にその良し悪しを判断できます。
これはコンピュータでは対応が困難であり、一種の職人芸と言って良いと思います。
Bickertonらは、これを「Chemical aesthetics」と呼び、
製薬化学者の判断とQEDの出力との関連性をさらに調べました。


すると、

  • 化学者が魅力的と感じた化合物のQED平均値: 0.67
  • 化学者が魅力的でないと感じた化合物のQED平均値: 0.49

という結果を得たそうです。こういう評価を丁寧に行うことも大切ですよね。

*1: Bickerton et al. Quantifying the chemical beauty of drugs. Nat. Chem. (2012) 4, 90-98 PubMed